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第一段階は、授業の時間中じっと座っていられること、講義をもらさず聞いていられること、ノートがきちんと取れること、宿題を忘れずにやって来られること、自分で辞書が引けること、覚えなければならないことを自分で繰り返し練習できること、前の授業でやった内容を忘れてしまわないこと等が挙げられます。記憶力・集中力と、何よりも、やるべきことをきちんとやるのが当たり前と考える心的姿勢作りです。
第二段階が、多くの方がイメージなさる通りの教育、いわゆる知識教育です。ただし、私達は試験でいい点が取れればそれで良しとは考えていません。なぜなら、それだけでは決して第三段階に進むことはできないからです。
中学生以上の入塾希望者に実施しているアンケートの中に「なぜ塾へ通うのですか」という設問があるのですが、皆さん判で押したように「学校の成績を上げたいから」「良い学校に入りたいから」とこたえます。「じゃあその先は?」と尋ねると、「いい会社に入りたい」「いい仕事に就きたい」とのこたえが返って来ます。それはそれで構わないのですが、重ねて「どんな仕事?」とか「それで君は幸せなんやな?」とか「それから先はどうするつもりなん?そこから先の方が人生長いけど」と問うと、みな呆然とした顔をします。深く考えず、大人の受け売りをしているだけなんですね。
多くの人が勘違いしていると思うのは、今の世の中たしかに学歴は必要ですが、それだけで成功が約束されるわけではないということです。別の職種の会社経営に携っていた経験から言わせて頂くと、学歴だけの人材などちっとも欲しくはありません。その人がそれまで何をして来たのか、どのように生きて来たのかの方がずっと重要です。これが、第三段階の話です。
第三段階は、各々が一体自分に何ができるのか悩み、苦しみながら自分を見出していく段階です。この段階に達した学習者は、自ら学びたいことを選択する自由を手にします。ただし、その結果に対する責任も自分で引き受けなければなりません。それを理解したうえで前に進む覚悟ができる者だけが、自己を実現してゆくことができ、また、社会から必要とされる人材になり得るのです。
本来、『教育の三つ段階』は、第一段階を小学生で、第二段階を中学生で、第三段階を高校生でクリアするべきものです。しかし残念ながら、最近では中学生で第一段階をクリアしている子供にはまずお目にかかれなくなりました。
新風館では、中学1・2年生で学習の第一段階をクリアしていない子供達については、学習以前の基礎的な事柄を身につけるため、まずは「導入クラス」に入って頂くことになっています。
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